両親のお金のことは、元気なうちに話しましょう

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いざという時の親のお金の管理は、どうするか決めていますか?

2025年には65歳以上5人に1人が、認知症になると予想されています。
例えば30歳で子供をもった場合、子が35歳になった時には親は65歳になります。

ということは、子供としては自分が40歳になる頃には、親のお金のことをしっかり話し合っておくべきですね。

なぜお金の管理が必要なのか

高齢になって判断能力も低下していきますし、そういった高齢者を狙った詐欺事件なども増加しています。もちろん認知症などの病気で、自分で管理することが出来なくなる場合もあります。

しかし、銀行預金は原則家族であっても引き出すことができません。
それでは、介護費用や年金など、必要な時にお金を引き出せず、他の家族で立て替える必要があったり、慌てて多くの手続きを踏まないといけなくなります。

管理方法によっては、本人の意思が必要とされるものもあり、その段階になければ選択肢も少なくなってしまいます。

管理方法

【成年後見制度】
【家族信託】
【信託銀行】
【日常生活支援】


管理方法には、このような制度があります。

いろいろな制度がありますが、家庭裁判所や公正役場、金融機関やお住いの地域での福祉など、手続きもそれにかかる費用や期間もさまざまですので、次に分かりやすく解説します。

成年後見制度

成年後見制度とは、加齢や障害などによって判断能力が低下している人の、権利の擁護や保護・支援をする制度です。
これには、法定後見と任意後見の2種類の制度があります。

任意後見とは
本人が元気なうちに、もしもの時に備えてあらかじめ『任意後見人』を選んでおき、内容も公正証書にしておきます。
そして本人の判断能力が低下した場合に、家庭裁判所にて任意後見人を監督する『任意後見監督』を選任して、本人をサポートを開始する。任意後見人は、配偶者や四親等内の親族に限られます。

※元気なうちに、本人が事前に後見人とその内容を決めることが出来ます

 

法定後見とは
本人の判断能力が低下した後に、家族などによって家庭裁判所へ申し立て、そこで成年後見人を選任されます。
選任後は、家庭裁判所より事務についての報告を求めたり、必要に応じて『後見監督人』を選任して不正が行われないようにします。

※本人の判断能力がなくなった後に、裁判所が後見人を選びます。


どちらも家庭裁判所での手続きが必要となります。
申し立てに必要な書類を提出し、調査官によって面談・調査が行われます。必要ならば医学鑑定が実施されます。裁判官によって審判決定され、後見人によるサポートが開始されます。

また成年後見人制度を利用する場合は、以下の費用が必要になります。

【申し立てにかかる費用】

申し立て手数料及び後見登記手数料
   3400円 

必要な書類を送付、登記の嘱託に必要な郵便
   3270~4210円 

裁判所が判断能力の鑑定が必要と判断した場合にかかる費用
   10~20万円程度 

医師の診断書の作成費用
   数千円程度(病院によって異なります)

住民票・戸籍謄本発行手数料
   数百円(各自治体によって異なります)

登記されていないことの証明書発行手数料
   300円 

【申し立て報酬】

申し立ては、弁護士または司法書士に委任することができます。
その場合、事務所ごとに異なりますが、おおよそ10~30万円程度になります。

※弁護士などを介さずに自分で申し立てをした場合でも、10~20万円程度の費用がかかります。

【後見人への報酬】

後見人への報酬は、申し立ての時に審判で決定されます。
報酬の基準額は法律で決まっていません。裁判官によって事務内容や財産の内容を考慮して審判されます。

目安として、成年後見人の報酬は月額2万円です。
ただし管理財産額や内容によっては、管理事務が複雑になるため報酬額は引き上げられます。

管理財産額1000~5000万円以下の場合は、月額3~4万円
管理財産額5000万円を超える場合は、月額5~6万円

後見監督人が必要と選任された場合、監督人への報酬がかかります。
後見監督人への報酬は、月額1~3万円程度が目安です。

※成年後見人の報酬を月額2万円、後見監督人の報酬を月額1万円として
(1+2)×12ヵ月=36万円
年間36万円の費用がかかります。

〈メリット〉

財産を管理してもらうことによって、本人の判断能力低下により、詐欺などの被害や周囲の人に不正に預金を引き出されるなどトラブルから守ってくれる。
法律手続きを代わりに行ってもらえるので、本人が契約したものでも不利益になるような内容であれば、本人に代わって契約の解約をすることができるので、法律的なトラブルにも対処できる。

〈デメリット〉

選任手続きに時間がかかる。申し立ててから、通常2~5ヵ月程度の期間を要します。
費用がかかる。とくに成年後見人に対しての毎月支払う報酬も期間が長くなれば高額になる。

成年後見人制度は、本人の権利や財産を守る制度なので、本人の為の出費以外は認められないため、相続税対策などはできません。また家族のお金としても使うことができなくなります。
一度成年後見人が選ばれると、正当な理由のない取り下げはできません。

家族信託(民事信託)

家族信託とは、自分で財産を管理できなくなってしまった時に備えて、不動産や預貯金など財産を信頼できる家族に託し、管理を任せる方法です。

まずは家族間で信託の目的や内容を決めます。
決定した内容を契約書として作成し、公正役場で公正証書にします。
(公正証書は必須ではないですが、信託契約書を公的に証明された書類にしておくことがトラブル回避につながります)
信託財産を一覧にした信託目録の作成も必要になります。

つぎに契約書内容に沿って、名義を親から子へ移します。
預貯金が信託財産なら、専用口座を開設します。そこで信託財産のお金を入金して管理します。
不動産が信託財産なら、所有権を親から子へ移転する信託登記を法務局へ申請します。

専門家に依頼した場合、以下の費用が必要になります。

相談・コンサルティング料
   30~80万円 
相場として、1億円以下の信託財産の場合1%、3億円以下の場合0.5%です。

公正証書作成費用・手数料
   13~25万円 

登録免許税
   10~15万円 
信託財産に不動産が含まれている場合必要な費用になります。

専門家に依頼しすれば、50万円~の費用が必要となります。しかし、家族信託の手続きを進めていく上で、法律や税金面など知識が必要となるので、専門家へ依頼して手続きを進めていく方法が良いかと思います。
もちろん費用がかかりますが、自分たちですれば膨大な時間と労力が必要になりますし、もし不備があればそのものが無効になってしまうこともあります。
以後のトラブルを防ぐためにも、専門家に依頼して進めてもらうことをお勧めします。

初回の相談を無料で行っているところもありますので、まずはそれを活用してみるのもいいですね。

〈メリット〉

成年後見人制度に比べ自由度が高く、本人の意思や希望に沿って設定すことができる。
本人の体調などに左右されずに、財産管理をすることができる。
二次相続などの指定ができ、遺言の機能も兼ね備えられる。

〈デメリット〉

専門家のコンサルティング料や登記料など多額の費用がかかる。
家族信託は、財産の管理運用についての契約なので、成年後見人のような身上監護ができない。
例えば施設への入所契約などを代理で行うことはできません。

信託銀行

信託銀行においても、認知症への備えとしてサポート商品があります。
自分の代わりにお金を引き出せる『代理人』を設定して、いざという時にも必要な時にお金を引き出すことができます。また家族でその情報を共有できる機能を持った商品もあります。

信託報酬は、信託金額の1%が相場です。毎月の管理手数料もかかります。
(金融機関によって異なります)

各金融機関で認知症などに備えた様々な商品があります。本人の契約が必要となりますので、ご利用の際は早めに手続きしましょう。

日常生活支援

日常生活自立支援事業とは、全国福祉協議会が実施し、認知症高齢者など判断能力が不十分な利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助を受けることができます。

その援助内容に、
日常生活上の消費契約及び住民票の届出等の行政手続きに関する援助
預金の払い戻し、預金の解約、預金の預け入れの手続き等、利用者の日常生活費の管理

これらも含まれます。

例えば、
請求書や郵便物の確認や手続き
食費や日用品家賃などの管理や見守り
税金や公共料金、医療費などの支払い手続きなどです。

窓口は、市町村の社会福祉協議会です。こちらで相談・申請をします。
利用者の生活状況や判断能力等を考慮して、支援計画を策定し契約が成立します。

支援計画は、援助内容や利用者の状況をふまえて、定期的に見直されます。

利用料は1回の訪問につき、平均1,200円
(1時間500円)

こちらの利用に関する相談は、お住いの市町村の社会福祉協議会へお問い合わせください。

まとめ

お金のことは、親子でも話しにくいと思います。
ましてや元気な時は、すべて自分で管理できているのだから、そんなときに財産の話しは言い出しにくいですよね。

そうなんです。遺言となると亡くなった後のことを話すのだから、なかなか話にくいかもしれません。
けれど信託などは、老後や介護のことを考えて、親の希望や考えを聞き、それに備える為の手段だと考えています。

そうなると元気なうちに話し合い、手続きなどを始めていかなければ、選択肢も少なくなってしまいます。
もちろん判断能力が低下したとしても、全く手段がないわけではありません。
しかし、本人の希望に沿った対策をすることは、健やかな老後を過ごしていくために、必要なことだと思います。

話し合いをされるときは、家族全員で集まって話し合いの場を設けて下さい。全員で話さないとトラブルの要因となってしまいますので、注意して下さい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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