認知症の父 介護とお金のこと

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高齢化が進む日本において、認知症患者は年々増加しています。
2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、602万人。
2025年には730万人にのぼると推定されています。
5人に1人が認知症有病者になります。

私の父も認知症でした。家族として介護やお金に関することなど不安もありました。
認知症だけでなく、やはり親が高齢になると様々な不安がでてくると思います。

私の経験をお伝えすることで、もしもの時に備えることもできると思いますし、このブログを使って親御さんへのお金のお話をするきっかけとなって頂ければ幸いです。

認知症と診断される

私の父は68歳で認知症と診断され、5年後の2022年に誤飲性肺炎のため他界しました。
一時食欲がなくなり水分補給もあまりできなかったので、それを補うためと投薬の調整をするために入院しました。

その1か月後に新型コロナ感染症が蔓延し、そのまま療養入院となりました。
県外に住む私は約2年間面会できないままでしたので、とても悔やまれます。

実際父が認知症と診断された時点では父の判断能力に問題はなかったのですが、いつまでこの状態が続くか分からないしと焦っていました。
生活のことお金のことなど、どうしていいか全く分からず家族みんな不安でした。

ネットや書籍などで調べたり公的機関に相談に行ったりと、『知識がないということがこんなに大変なことになるとは』と思い知らされました。

この経験が、後にファイナンシャルプランナーの資格を取るきっかけとなりました。

 

介護にかかる費用

父の認知症が進行した時、家族でどのように介護していくのか、どのような支援を受けることが出来るのかなど、遠くない将来について地域の包括センターへ相談に行きました。

要介護認定区分でも変わりますが、在宅介護をするにしてもまずは介護用品をそろえたりの一時金、月々の医療費や介護サービスへの支払いと負担が大きいことが分かりました。

公益財団法人家計経済研究所の調べによると、要介護5になると介護サービスへの支出2.1万円でそれ以外の支出が5.3万円、月々7.3万円の支出が必要になります。
介護認定区分全体でも平均月々5万円の費用がかかり、在宅介護になれば、住宅改造や介護ベッドの購入などの一時金が平均69万円になります。


父の希望も聞けるよう症状が進んでしまわないうちに、そして母も高齢なので身体的負担も大きくなる前に施設などの入所も検討しておかなければと思い、その費用も調べました。

【特別養護老人ホーム】
月額6~15万円で入居することできます。
一時金も不要ですが入所には条件があり、介護度が重く介護者がいない方が優先されます。

【有料老人ホーム】
認知症受け入れのある施設はありますが、費用がかなりかかります。
一時金に数百万円かかったり、月額20万円を超えるところが多いです。

【グループホーム】
ほとんどの場合が一時金不要で月額10~20万円になります。
施設と同じ地域に住民票があり、要支援2以上で入居することができます。

実際に父は入居することはありませんでしたが、やはり認知症患者を受け入れてくれる施設はあまり多くありませんでした。選択肢が限られます。

地域によって利用料金や施設の数も違いますので、とにかく早めの情報収集をおすすめします。

 

実際入院するまでの父は、デイサービスとショートステイを利用していました。
デイサービスに通っていた施設には宿泊ができなかったので、ショートステイをする時はグループホームを利用しました。

何度か利用するうちに父も介護士さんの顔や名前を覚えていたので、嫌がることもありませんでした。
利用にあたっては、介護保険が適用されない食費や滞在費などで数千円かかりましたが、1~2泊利用するだけでも母の負担を減らすこともできました。

本人の気持ちも聞くことが出来るし、介護の負担軽減にもなるし、やはり早めにこういったサービスを利用していてよかったと思います。
とても親身になっていろいろと提案して下さったケアマネージャーにも、とても感謝しております。

 

父の預金問題

両親は年金受給者でしたので両親そろって銀行へ行き引き出していたが、父がそれをできなくなった時にどうするのか
介護費用を父の年金や預金で賄うにしても、認識できなくなったらどうするのか、誰が管理するのかなどの問題が出てきました。

銀行へ話を聞いたところ、『親の年金を子供が引き出すことは原則できない』ということでした。
予想通りというかそりゃそうだというところ。

口座の名義人が認知症であると診断されたからと即凍結されるわけではありません。
『口座名義人の判断能力が著しい低下があることを知った時』口座の利用に制限がかかるそうです。

これは父の判断がある間に、どうにかしないといけない問題でした。
 

家族信託という選択

まずは知り合いの弁護士に母が相談しました。その時に成年後見人制度の説明をしてもらったのですが、『他人に管理される』というのがネックでした。
その管理に月額費用がかかること。出金が必要になった際、手続きを踏まないといけないことなどにデメリットを感じたようです。

そしてテレビ番組で認知症対策のひとつに、家族信託という制度があることを知りました。

録画をしてしっかりメモを取り、母へ説明。
私はちょうど役所で行われていた相談室へ行き、母も早速家族信託協会へ無料相談へ行きました。
 
家族で管理できるというメリット、節税効果は少ない、手続きには費用がかかるというデメリットなど教えてもらいました。

結果として、成年後見人制度よりも柔軟に管理ができて、父の思いを反映させることができる家族信託を選択しました。
司法書士に書類作成から手続きまで依頼し、早速書類をそろえて父と共に公証役場へいき、手続きしました。

家族信託における必要経費については、信託する内容や資産額によって異なります。

詳しくはこちらをクリック
≪一般社団法人家族信託推進協会≫ 
(外部サイトへ移動します)

今思うこと

このブログを作成するにあたり、母と話をしました。
『家族信託にしておいてよかった』と言います。その理由としては、父の思いを聞けたこと。
手続きなどの労力がいらないこと。その分手数料もかかるけど、それを差し引いてもよかったと。

私は、離れて暮らしているので実際に動いてくれたのは、母と妹です。
妹は仕事も子育ても家事もあるのに、とても協力してくれました。

書類を作成するにあたっては、父に遺言書を作らせているような気持ちになることもありました。

父が亡くなって今思うのは、家族のために頑張ってくれた父、そしてその思いをしっかりと共有できる家族がここにあることにとても感謝しています。
この家族だからこそ、家族信託にしてよかったと思っています。

最後に

2021年2月18日付 全国銀行協会で新しい指針が発表されました。

『認知症患者自身の明確な意思が確認できなくても、親族によってご本人の口座からの引き下ろしに対応してもらえる可能性がある』

ただし、こちらはすべての銀行が一律に対応してくれるものではなく、条件や制限もあります。

各銀行では高齢化対策として、いろいろなサービスが開始されています。
例えば、生計を一にする家族が入出金できる『代理人カード』を発行している銀行もあります。

三菱UFJ銀行では『予約型代理人』を指定できるサービスもあります。こちらは認知判断能力が低下して取引が困難になったら、指定された代理人による取引が可能になります。


これからの時代にあわせてどの金融機関でも、安全でスムーズな取引ができるサービスが増えていくことを願います。

そしてこのブログを読んでくださっているご自身が40歳を超えていたら、いつかに備えて親御さんとお話してみて下さい。

お金のことは話しにくいものです。しかしそのいつかは急に訪れることもあります。
病床の家族を前にお金の話ばかりするほうが悲しいですよね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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